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鬼滅隊の兄と、鬼の姉

第15章 蝶屋敷


ハッと目を覚ますと、私の身体は汗でぐっしょりと濡れていた。乱れる息、重い身体…私の心臓はバクバクと言っていた。

「おはよう。幸子」

そんな私の身体を和らげるような…そんな落ち着いた声が私に向けられた。視線をそちらへ向けると、そこには穏やかな顔をした青年がいた。歳は23くらいだろうか…。黒髪から覗かせる瞳とは視線が合うことはなく、また顔の上半分が焼けただれたような痕が見える。何か病に侵されているのだろうか…いや、これは病と言うより……

「そうだね。これは"呪い"かな」

ジロジロと見すぎたのだろう…にこやかに話す青年に私は慌てた。しかしこの人…どこかで見たことが……

「寝かせてあげなさい。皆、怪我も完治していないのに、ずっと付き添っていたんだよ」

そこで初めて私は自分の周りに気づく。私の左手は兄が、右手は私の上ですやすやと寝息をたてている姉が握っていた。そして、私の右隣には伊之助や善逸さんが私のすぐ側で顔を埋めて眠っているではないか。兄の体にかけられた隊服が落ちそうになり、それを見覚えのある黒髪の子がそっとかけ直した。……そうだ…この人たちは……!!!!

「幸子。君はね、ずっと熱を出して眠っていたんだよ。人間じゃ耐えられないほどの熱を発して、その後まるで氷のような体温へと下がっていった。しのぶの話では、もう打つ手がなく、今夜が山場だと聞いていたんだけど……君が目覚めてよかった」

本当に嬉しそうにそう微笑むこの人は…鬼殺隊を束ねる産屋敷の当主…産屋敷耀哉…お館様。そして、その隣にいるのは彼の子供である次期当主の産屋敷耀哉くんだ。耀哉くんに会ったのは最終選別のとき…前見た時よりも、身体が大きくなっているがまだ幼さは残っている。

「お見舞いにきていただいたのですか…?」

お館様と言えば、鬼殺隊のトップだ。そんな人が一隊員…しかも鬼舞辻無惨と繋がりがある私の所へわざわざ足を運ぶなんて……

「そうだね。鬼殺隊の子たちは皆私の子供たちだから」

微笑む彼に私は納得してしまう。この人の人柄が、鬼殺隊の人たちをまとめあげることが出来ているのだと。だが……私はその笑みから思わず目を逸らしてしまう。目が利く私は、昔から嫌でも分かってしまうことがある。いくら思おうが分かってしまうそれは、私の心をぎゅっと締め付けた。
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