第15章 蝶屋敷
~炭治郎~
「幸子さんには鬼の血が混ざっています」
そう胡蝶さんに切り出され、俺は頭が真っ白になった。幸子が…鬼? まさか、禰豆子と一緒の時に鬼にされたのか!? しかし、俺はすぐに首を振った。
「いいえ!! 禰豆子が鬼になった時、幸子の匂いは変わっていなかった!! 幸子は人間です!!!!」
「はい彼女は人間です。だから、問題なのです」
俺の言葉を肯定してくれた胡蝶さん。俺は首をかしげた。胡蝶さんは悲しげな匂いをさせ、俺に説明をしてくれた。
「…彼女は希少な血…稀血です。彼女の血は鬼舞辻の血と拮抗する力を持っているようですね。だから、それに気づいた鬼舞辻は幸子さんを自分の手元に置いたのでしょう」
俺は胡蝶さんの言葉でハッとする。一緒にいすぎてあまり気にしていなかったが、幸子は周りの人と少し違った匂いがしていたから。そうか…幸子は稀血なのか!! しかも、鬼舞辻の血と戦える力を持つ。俺は少し希望が見えたような気がした。だが、そんな俺の様子を見て、胡蝶さんはよく聞いておいてくださいね炭治郎君…と前置きをする。
「鬼舞辻無惨は、彼女を実験台にして、幼少期から少量ずつ…彼女が完全な鬼とならない程度の血を…彼女に与えていた可能性があります。一緒に暮らしていて、彼女が異様に傷の治りが早いなどありませんでしたか?」
実験台…その言葉に俺は血の気が引くような思いがしたが、黙って首を振る。幸子は昔、周りと違う容姿のことで村の子供たちにより怪我をして帰ってくるようなことがあった。しかし、怪我の具合は遅すぎもせずまた早すぎもせず、かさぶたとなり癒えたはずだ。俺の言葉に、胡蝶さんは考え込むような仕草を見せた。
「……これは私の予想なのですが…幸子さんは鬼殺隊に入ったことで鬼化が進行したのではないか…そう考えています」
胡蝶さんの話によると、幸子自身が力をつけ始め、それに応えるように抑えていた鬼の血が表に出てきたのだという。
「そして、鬼舞辻は彼女の鬼化に気づいています。彼女にも追っ手が向かっているのはそのためかと」