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鬼滅隊の兄と、鬼の姉

第15章 蝶屋敷


~炭治郎~

「五回!? 五回飲むの? 一日に!?」

蝶屋敷に着くと、聞き覚えのある声が聞こえ、俺と幸子は顔を見合わせた。

「三ヶ月飲み続けるのこの薬!? これ呑んだら飯食えないよ!! すげぇ苦いんだけどつらいんだけど!!」
「静かになさってください!!」

そう叱られると、布団に潜り込みしくしくと泣き始める善逸。俺は思わずその白い塊に声をかけた。

「善逸!!」
「ギャーッ」

「大丈夫か!? 怪我したのか!? 幸子がいたから善逸も山に入ってくれたと思っていたけど、姿が見えなかったから心配してたんだ!!」
「……善逸さん…!!」

善逸の体は山に入る前よりも小さくなっているように思え、それが鬼との激戦を感じられる。幸子は涙目になりながら善逸の名を呼んだ。

「た、炭治郎……幸子ちゃぁぁんん!!!!」

善逸は先程静かにと言われたばかりなのに、声を大きくして幸子に抱きつこうとした。正確に言えば、善逸は体の大きさが足りないため、幸子を背負っている隠の人に抱きつくことになるのだが。しかし、隠の人はサッと避けたため、善逸はそのまま俺を背負ってくれている隠の人に抱きつく体勢となった。

「聞いてくれよーーっ!! 毒で凄い痛かったんだよーーーっ!! さっきからあの女の子にガミガミ怒られるし最悪だよーっ!!」

ギロッと睨むあの少女に怯える善逸が、ギュッと隠にしがみつく。

「……よく頑張りましたね、善逸さん」
「幸子ちゃぁぁん!!!!」

涙と鼻水でベチョベチョになる隠の人の服。嫌そうな顔で善逸を引き剥がそうとする隠の人だったが、善逸のしがみつく力が強いらしく中々出来ないでいる。ふと、善逸は思い出したように、幸子に隊服を渡した。

「ちゃんと返してくださったんですね!! ありがとうございます」

何か約束をしていたのだろうか。隊服を笑顔で受け取る幸子に、顔を赤面させる善逸。

「伊之助は? 村田さんは見なかったか? 」
「村田って人は知らんけど、伊之助なら隣に居るよ」
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