第14章 鬼殺隊柱合裁判
「鬼舞辻はね、炭治郎と幸子に向かって追っ手を放っているんだよ。恐らくは禰豆子にも鬼舞辻にとって予想外の何かが起こっているのだと思うんだ」
お館様が口元に指を持ってくる動作だけで、ピタッと兄に詰め寄るのを止め、お館様の話を聞く柱たち。その柱たちにお館様はこう言った。
「分かってくれるかな?」
やはり…鬼舞辻は兄に追っ手を仕向けていた…。私は無意識にギュッと自分の腕を掴んでいた。しかし分からないことがある。何故私にも追っ手を? 自分の情報が鬼殺隊に伝わることを懸念して…? いや、私が鬼殺隊に身を置くのはこれで2度目…それなら初めから手を打っておくはず。………分からない。自分の知らないところで動いている状況に私は身震いをした。暗闇の中で光るあの男の顔が見えた。
「わかりませんお館様…鬼は駄目です。承知できない」
そう不死川さんが叫び、周辺に血の匂いが漂い、私はハッと顔を上げる。
「お館様…!! 証明しますよ俺が、鬼という物の醜さを!! オイ鬼!! 飯の時間だぞ喰らいつけ!!」
そして、ボタボタと自分の血を箱に落とす不死川さん。
「!!」
「っ!?」
私も兄も不死川さんが何をしようとしているのか安易に想像がついた。姉は今先程負った傷で眠りについているはず…。まさか…わざと飢餓状態を作る気か!!!!!!
「不死川。日なたでは駄目だ。日陰に行かねば鬼は出てこない」
「お館様。失礼仕る」
ドンッと音がし、不死川さんが家の中の日陰へと姿を現す。
「禰豆子ォ!!」
私も兄も不死川さんが刀を箱に向けた瞬間、それを止めようと体を動かした。しかし……
「やめろーーっ!! ………かっ……」
「お兄ちゃん!!」
兄は蛇の人に抑え込まれ、私は煉獄さんから抜け出せないでいる。その間にも、姉に3度刀を勢いよく下ろす不死川さん。
「お姉ちゃん!!!! 離して……行かせてください!!!! 煉獄さん!!!!」
「駄目だ」
ギリッと歯をくいしばる。先程から本気で抜け出そうとしているが、ピクリともしない…。修行中、手を抜かれていたのだと思い知る……これが柱…!!