第14章 鬼殺隊柱合裁判
柱とは、鬼殺隊の中で最も位の高い9名の剣士である。柱より下の階級の者達は恐ろしい早さで殺されてゆくが彼らは違う。鬼殺隊を支えているのは柱たちだった……
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「そんなことより、富岡はどうするのかね」
蛇を首元に巻かせた男性の柱がそうため息をついた。そして、ジロリと一人佇む富岡さんを見る。
「拘束もしていない様に俺は頭痛がしてくるんだが。胡蝶めの話によると、隊律違反は富岡も同じことだろう」
やはり私たちを庇ってくれたせいで、冨岡さんまで…
「まぁ、いいじゃないですか。処罰は後で考えましょう。それより私はまず彼らの話を聞いてみたいですね」
胡蝶さんが兄をちらっと見る。兄が口を開こうとしたが、真っ青な顔色でゴホゴホと嫌な咳をした。
「水を飲んだ方がいいですね」
胡蝶さんが兄に鎮静薬の入った水を飲ませてくれ、兄の顔色が少し戻り私はホッとする。
「……俺の妹は鬼になりました。だけど人は食ったことはないんです。今までもこれからも人を傷つけることは絶対にありません」
その兄の言葉に、柱たちは口々に妄言など取り憑かれているなど言い捨てる。
「聞いてください!! 俺達は禰豆子を治すために剣士になったんです。禰豆子が鬼になったのは2年以上前のことで、その間禰豆子は人を喰ったりしていない!!」
私は唇を噛んだ。兄の言葉に、柱の顔色が誰も変わっていなかったからだ。彼らは大切な人を鬼に殺されてここにいる者ばかり…さらには、長年柱としているため、鬼の醜い部分ばかり瞳に映してきた。つまりは…慈しみより憎しみの感情が勝っているのだ。彼らを納得させるだけの材料が足りない…しかし、私は………
「姉は…姉は鬼と変貌しました。しかし、人間を家族と思い、これまで人々を守って来ました!! 確かに…2年以上人を襲わなかったからと言って、これから人を食べないとは限りません。しかし…人を襲わず、守ったという事実があります!! 姉は敵ではありません!! 人も襲わせません!! どうか……殺さないでください!! お願いします!!!!」