第14章 鬼殺隊柱合裁判
「下弦の伍を倒したのか。よく頑張った」
聞き覚えのある強い声が頭上から聞こえ、私はゆっくりと目を開けた。
「………煉獄…さん…」
私を軽々と抱き抱えた煉獄の姿があった。あまりにも遅いので、逃げ出さないように迎えに来てくれたのか…? 私は少し申し訳ないような気持ちがした。煉獄さんは姉と私を抱えても、軽々と走って………ん?
「えっ!? あれ?? 隠の方々は……!?」
「置いてきた!!」
煉獄さんが前を向いたまま私にそう言った。私のせいで進行が遅れていたのに…結果、私は楽して帰路に至り、彼らはこれから徒歩で帰路に向かうのだ。私は申し訳なさで頭を抱えた。
「無理は禁物だ。君は重症だ。あのまま無理していたら、死んでいたな!!」
そんな明るく言わないでください…と私は大きくため息を吐きそうになり……肋骨が折れていることを思い出し止めた。
「しかし、報告よりも元気そうだな。何より何より」
煉獄さんの言葉に私もそう言えば…と首を捻った。息を吸うのも辛かったはずなのに……今はそうでも無い。………血を流しすぎて感覚が鈍くなっているか…。ありそうで恐ろしいと私はゾッとしながら、なんだか眠くなりウトウトと目を閉じそうになる。
「あまり寝ていないのだろう? 寝れる時に寝るといい」
師に迎えに来てもらい、運んでもらっているというのに、さらに眠るとは何たることか…。しかし、この時の私は彼の優しさに甘え、ゆっくりと眠りへと落ちていった。…この人が身内に大変甘いということが見えていたからだろうか…この人なら私の姉を簡単に殺したりしないだろうと私は無意識に確信していた。