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鬼滅隊の兄と、鬼の姉

第13章 那田蜘蛛山 ~刺激臭~


「あ…気がついた?」

いつの間にか気絶していたようだ。私は累によって上に吊るされていた。ポタポタと頬や腕から血が流れ、地へと落ちていく。

「お前が人間だってこと、忘れてたよ。すぐに治ると思って肋も折っちゃったし。切り刻んじゃった。殺す前に思い出してよかった」

いつの間にか仲間の鬼と合流したのか、その女の人の鬼は累と似た顔をしていた。

「…………そちらが今の累のお姉さん役の人?」

そう聞くと、気分を害したのか累は私を糸で力強く締め上げる。

「ぐ………ぅぅっ!!」
「役…じゃないよ。ままごとじゃないんだ」

折れた肋がさらにミシミシと音をたてる。おっと…と累が私の糸を緩めた。

「忘れてた。お前以外に人間を躾けたことなんてなかったから、つい加減を間違える」

人間は脆くていけない、やっぱり家族になるなら鬼じゃなくちゃ。そう言う累に、彼の姉役を与えられた鬼が慌てたように声をかける。

「こいつ、私達を殺しに来た鬼狩りでしょ!! なんで殺さないのよ。お母さんがやられた。多分兄さんも……どうするの? 鬼狩りがどんどん集まってきている」

累は彼女を無視して、糸であやとりを続けている。………まだそれしてるんだ…と私はぼんやりとそう思った。あやとりも私が教えた遊びだ。人間の記憶がないから
、累はそういった遊びを全く知らなかった。私はチラリと地面を見渡す。刀は地面に突き刺さっており、腕や足は糸で拘束されている。炎の呼吸程度で斬れるような糸ではない。……血を流しすぎたのか…頭に靄がかかったような感じだ。どうする……どうすれば累を……

「ギャァァァッ」

鉄の匂いが辺りに飛び散る。姉役の鬼が顔を抑え、地面に膝を付く。累がやったようだ。その女の人からは恐怖の色が見えた。
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