第13章 那田蜘蛛山 ~刺激臭~
累は鬼舞辻無惨から言い渡された私の遊び相手だった。いつもムスッとした顔の彼に、ある時私はごっこ遊びを提案した。
「………なんで僕がそんなままごとに…」
「累はお父さん役ね。私、お母さん役するから」
そして、渋々と言ったように付き合ってくれていた彼だったが…ある時、私が姉役で累が弟役になった時……累の様子が激変した。
「よしよし。泣かないで。お姉ちゃんが守ってあげるから」
その時、彼はハッとしたように私の髪を力強く掴んだ。痛いと訴える私の言葉なんて耳に入っている様子もなく、累は呟いた。
「……僕と似た髪色……」
そして、少し考えた後、彼は私の髪から手を離し、ニコッと微笑んだ。
「魅子、君を僕の姉にしてあげる」
私より頭が数個分高い累の言葉に、私は首を傾げた。そんなにままごとが気に入ったのだろうかと、その時の私は軽く考えていた。
「俺の弟…累がお前に会いたがっているからな」
彼のことを弟と呼ぶ…鬼に出会うまでは。私はその言葉でハッとした。累はあの時始めたおままごとを……現実にしたいのだと。