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鬼滅隊の兄と、鬼の姉

第2章 残酷


叫び声が聞こえたのは、厠の方。私は飛び起きた。声の主は……花子だ。

「な…なに!?」

「見てくる!お母さんとお姉ちゃんはみんなをお願い!!」

私は台所から包丁を持って走り出した。

「待って!幸子!!」

後ろからお姉ちゃんが呼び止める声が聞こえたが、私は構わず走り出した。父も兄もいないこんな夜に…まさか盗賊?私は人質になった花子が頭を過ぎり、背筋が凍りそうになった。

厠は真っ暗で私の目にはまだ何も映らなかったが、その他の感覚で何が起こっているのか分かった。小さな足音と共に、生々しい鉄の匂い。私は叫んだ。

「かがんで!!!」

そして、思いっきり包丁を投げた。標的は思ったより大きかったようだ。私は血だらけの花子を抱き抱え、急いで家に戻り、戸を閉めた。

「花子!!」

「おねぇちゃぁぁん!!」

激しく泣き出す花子だったが、私はホッとした。服が血だらけだったので、出血がひどいのかと思ったが、違うようだ。唯一、花子か着ている服には袖がないのが気になったが、恐らくその袖のおかげで花子は捕まらずに済んだようだ。

私はしっかりと戸が開けられないようにし、このことを母やみんなに知らせるために寝床へと戻ろうとした。

「お母さん!花子は無事だよ!!でも、外に盗賊がいるから、気をつけて見張りを………」

ふと、私は不思議に思った。静かすぎではないか、と。お母さんもお姉ちゃんも、それに茂たちも……花子が襲われたというのに、何故そんなにも落ち着いていられるのだろう?

「だめ!逃げて幸子!!!」

母の声が聞こえ、その時大きな音が寝床から聞こえた。私は考えるより先に体が動き、思いっきり襖を開けた。

「やぁ、魅子。久しぶり」

そこには、二度と会いたくないと思っていた相手がにこりと微笑んでいた。お母さんの首を片手で締め上げながら。
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