第2章 残酷
それからの1日は長かった。弟達が薪を作ってくれている傍ら、私たちは夜ご飯の準備や洗濯、掃除をこなした。普段は兄が早々に薪を必要な分を作り、ご飯の準備を手伝ってくれるのだが、その兄は今日はいない。私たちは忙しい1日を過ごした。
「つっかれたぁぁぁ!!!」
外から帰ってきた竹雄が床に寝そべった。その横では竹雄のお手伝いをしていた花子と茂が勢い良く寝そべった。2人ともまだ余力がありそうだ。
「お疲れ様。花子、茂、竹雄のお手伝いちゃんとできた?」
「「うん!!」」
2人がきゃっきゃっと母に抱きつく。母はそんな2人を優しそうに撫で、竹雄の方を見た。
「竹雄もお疲れ様。お兄ちゃんがいなかったから、大変だったでしょう?今日は好きなおかず1品増やしといたからね」
「よっしゃぁ!!」
私はそんな和やかな風景に思わず笑みを浮かべ、眺めていた。兄が中々帰ってこなくても、何も心配していなかった。麓の村の人達はとても親切な人ばかりなので、きっと日が暮れて山に入る兄を止めて、家に入れてくれたのだろう。
私は幸せだった。大好きな人に囲まれて、毎日が楽しかった。
だから、私は忘れていたのだ。自分が疫病神だということを。あの惨劇を。あまりにも幸せすぎて。
私は誰かと共にいるということが、不幸を招くのだということに。