第19章 Bitter END 【★】
コンコン、と扉がノックされる。
「アズリ………、起きてる?」
それは、モーツァルトの声だった。
返事をする気にもなれずに、寝台の上でじっとしていると。
「………入るよ」
カチャリ。扉を開けて、彼が入ってくる。
いまだ涙の伝うおもてを上げると、モーツァルトは痛ましそうにおもてを歪め………。
息もつけぬほど強く、抱きしめた。
身じろぎすらせずに、されるがままになっていると。
「俺がナポレオンの代わりになるよ」
「え………?」
「それで君の隣りにいられるなら………、あいつの身代わりでも構わない」
「モーツァルト………ッ」
『本当にそれでいいの?』―――問う筈だった言葉は、彼の唇に吸われた。
「んんぅ………ふっ、」
吐息さえも奪うようなキス。ちゅ、ちゅく、と響く水音が恥ずかしい。
口づけられながら、丁寧な手つきで衣服を脱がせ脱ぎ去る。
寝台に倒されると、ふるりと豊かなふくらみが揺れた。
誘われるままに、胸に触れると。
「っ………!」
最初は丸みを帯びた輪郭をかすめるだけだった指先が
次第に遠慮のない触れ方になっていく。
ぐにぐにと彼の手によって面白いように捏ねられて、知らず吐息が熱くなる。
「あぅっ………ひ、ぁ、」
快感に歪む表情。そこには、どこか哀しげな色彩もあって。
それを見て、一瞬にして悟る。
(やっぱり俺では………、あいつの代わりにすらなれないんだ、)
軋む胸をごまかすように、ふくらみの頂に吸いつく。
「ひあっ! あっ、ん………ぁ、」
じゅうぅっ……。と強く吸い上げられながら
反対側の胸は頂をつままれ、紙捻りを作るように捩られる。
その愛撫は既に熱くなった下肢に淫らな火を灯して。
ふと彼女を見下ろすと、脚をこすり合わせてなにかに耐えていた。
「下、舐めるよ」
言うや、彼女の足元に移動し。
するすると胸に触れていた手がお腹をたどり脚を持ち上げる。