第19章 Bitter END 【★】
「やっ……あぁっ、もっと……ゆっくりにして………! あっ、ぁ………!」
「やめない。君の中にいるのが誰なのか刻み付けるまでね」
緩やかだった律動が速度を上げ、彼女の最奥を征服する。
象徴が最奥にたどり着こうとでもいうようにねじ込まれ、子宮口に先端が押し当てられる。
「………ここ?」
「あっ、………んあ、あぅっ」
抉られたのは、指で触れた時に知られた彼女の弱点だった。
開きっぱなしになった彼女の口をモーツァルトの唇が塞ぎ、荒く舌を吸われた。
立て続けに与えられる嵐に翻弄され、まともな思考を根こそぎさらう。
「あっ………あ、ふ………も……壊れるっ………!」
「ん、あぁ………もっと君が欲しいのに、俺も限界だ」
突き入れられたまま円を描くように腰を動かされ、泡立った愛液が掻き出される。
「んぁ、あぁっ………あっ、ん」
叩きつけられる肌がぶつかり合い、淫らな音を奏でる。
激しい律動が彼女のつま先がガクガクと揺さぶられた。
「ぁうっ………んあ、あああ、」
膨れ上がる快感が すべてを喰らい尽くす。
もう何も考えられず、必死に彼の背にしがみついた。
「やっ、あぁぁああぁぁっ………!」
身体中の筋が収縮し、彼女は痙攣した。
思考のすべてが熱にさらわれる。
体内で生々しく存在を主張するものがさらに体積に増し、そして弾けた。
「………っ!」
お腹の中に焼けつくようか熱が吐き出される。
びくんっ、びくん、と身体を震わせたのち。とうとう意識を漆黒に染めた。
◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆
眠ってしまった彼女の傍らで、モーツァルトは掌で目元を覆う。
(君はずるいね。
死んでもなお、彼女を囚えているんだから………。)
その頬には哀しみが伝い、眠ったままの彼女の頬を濡らした。
(それでも………手放せない。
君だけは………。)
いつか彼の死が想い出に変わるとき、
アズリの心に己が住まう時が来るのだろうか………。
答えのない問いを胸に、いっそう強く彼女の身体を引き寄せた。
【Bitter END 完】