第1章 「愛しいあなたへ」のカカシバージョン
そんなに長い間
片想いをしていたのに、
俺にそんな素振りを
一切見せず、
まったく告白
してこなかった理由も、
この手紙に
しっかり書かれている。
『あなたに釣り合う女性ではない』
その一文が、どうしても
切なく感じるのだ。
なぜ、そこまで自信がないのか分からないが、
その文字を見ると
どうしても
イライラしてしまう。
どうしては勝手に決め付ける?
は…。
何故言わなかった?
言ってくれたら、
俺は……
そう思った瞬間、
自分の、今感じた気持ちに
心底驚いて、
息を止めてしまった。
(ちゃんと、受け入れたのに)
また、大きな溜息をついて
ゆっくり暗くなる窓の外
の景色をみていた。
が泣いた姿を
みたのは、後にも先にも
あのA級任務だけだ。
休みの日も必死に
修行をしていた事を
俺はずっと前から
知っている。
が
ふざけて茶化すときは、
いつも真面目な話を
避けたい時だ。
目を逸らして、
たくさん喋るときは
何かを隠して
誤魔化そうとしてる時だな。
そういや、いつも
俺の素顔を見ると
後ろを向いていたのは…、
そうか、照れていたんだな。
まるで、の
手紙と会話するように
の事を
思い出していた。