第1章 「愛しいあなたへ」のカカシバージョン
内容よりも先に
字の美しさに驚き、息を飲んだ。きっと何度も練習したのだろう。文字を感心して眺めていた。
それから、ふと中身を
確認した瞬間、
俺だけ時間が
停止したように、
の手紙を
夢中になって読んでいた。
もうあれから
どれくらい時間が
経ったのだろうか。
何度も何度も読み返し、
俺は戸惑い焦っている。
だが、素直に嬉しいとも感じている。
これから、
彼女の家に行く
はずだったのに、
一切行く気が起こらない。
それどころか、
今、の事以外、
全く考える事が、
出来ないぐらい、
動揺している。
手紙の内容は、
俺との思い出話や想いが
優しく丁寧に書かれている。
この手紙を燃やせと、
は何度も
忠告していたが、
俺はこの愛文を、
自分の手から
離す事さえ出来ず、
ただ眺めていた。