第1章 「愛しいあなたへ」のカカシバージョン
「あーー!もう!!
早く帰ってこいよ!
長いんだよ、2ヶ月が!!」
書庫室に場違いな
大きな声が響く。
手で口元を押さえ
顔が真っ赤になっている。
鏡で自分の顔を
確認しなくても十分
分かっている。
(、
これは、プロポーズだぞ、
わかっているのか?)
大きな溜息をつき、
書庫室の窓に目を向ければ
暖かい日差しが真っ直ぐに
降り注いでいる。
「ふ、わかった。お前がそこまで言うなら、俺も覚悟を決めてやるよ。」
そう不気味に言い放ち、綱手様のところへ、急いで向かった。
お目当ての紙を受け取り
その紙を持って待機所に行こうとした時、
少し足取りが
浮かれてる事に今、
気がつく。
(綱手様、大層驚いておられたな…。椅子から転げ落ちそうだったぞ。)
待機所の中に入れば
アスマと紅が座っている。
好都合だ。
「ここ、記入してくれ。」
そう渡した特別な紙を二人は
唖然とした様子で、紙と俺を交互に何度も穴が空くほど見ている。
「え、嘘でしょ?!
相手は誰なの??
あなた、彼女と別れたらしいじゃない。
アスマと今その話していたのよ。」
「おいおい、自暴自棄になって失敗したのか?」
(は?失敗?何がよ、失礼な。)
「いや、もうプロポーズされちゃったからね。ま、先に書いとこうと思って。頼むわ。」
ペンを二人に渡し
照れながら答えると、
二人は面食らい、
口が開いて塞がらないようだ。
「「プロポーズ!?」」
同時に叫んで
もう訳が分からないという様子だ。
その後、俺はちゃんと内容を
話し、二人は快く署名してくれ、ホッとして家路に着いた。