第1章 満天の星に願いを込めて*秀吉、政宗、三成*
「戦から無事に戻れたら…私と結婚してください」
その瞬間、舞様の目が大きく見開かれる。
握りしめた手は、微かに震え……
舞様は押し黙って、私を見つめてきた。
「無茶を言ってごめんなさい、舞様」
「三、成、く……」
「でも、聞いてください。私は貴女と約束出来たら、それを信念の一本槍として掲げ、生きることが出来るのです。だから誓わせてください、貴女を守る為に帰ってきます。私と…夫婦になってくださいませんか」
無謀な事を言っているかもしれない。
戦に赴く男と夫婦になる約束なんて……
もし果たせなかったら、舞様をその約束で縛ることにはならないだろうか。
────それでも、その約束があったなら
私はそれだけで、強くなれる。
何がなんでも帰ってこようと……
貴女が私の生きる糧になる。
貴女は、何よりも尊く強い存在なのです、舞様。
「ぁっ…三成君っ……」
私が握る小さな手の甲にそっと口づけると、舞様はぴくりと肌を震わせ、小さく息を漏らした。
今すぐに、その吐息ごと奪って……
肌を合わせて、貴女を感じたい。
けれど、今はそれが出来ないから、この先の確かな約束をください。
そう願って、舞様を見上げる。
すると舞様は少し瞳を潤ませ、私を見下ろし…
やがて、首を小さく縦に振った。
「三成君が帰ってきたら、私、三成君のお嫁さんになるよ」
「舞様……」
「だから、必ず帰ってきてね、私の元へ。約束破ったりしたら…許さないんだから」
震える声で、そう舞様が言った刹那。
舞様の瞳から、美しい雫が一筋零れた。
それを見て、酷く心がざわつく。
そうか、この方は……
私の身を案じ、不安を一生懸命堪えているのだと。
それが切々と伝わり、一気に心苦しくなった。
────でも、大丈夫
私は、必ず貴女の元へ帰ってくる。
貴女が私に約束をしてくれたから。
その約束に誓って。
貴女を守る為に、貴女と一緒にこの先も生きる為に。
その約束があるから、私は何処へ行こうとも……
貴女の涙を拭いに、帰ってきます。