第1章 満天の星に願いを込めて*秀吉、政宗、三成*
「────泣かないで、舞様」
私はすっと立ち上がり、握っている手をそっと自分の方に引いた。
そして、私の方に傾いてきた舞様の身体を、そのまま抱き締める。
心臓が鼓動を打っているのが聞こえ……
息衝く魂と、温かさを改めて確認した。
「ありがとうございます、舞様。私は大丈夫、その約束さえあれば…必ず帰ってきます」
「うん、うんっ……」
「だから、舞様は祝言を楽しみに待っていてください。ああ、白無垢も用意しなければいけませんね」
「ありがとう……」
「御礼を言うのは私の方です、ありがとう」
お互い視線を合わせ、微笑み合う。
うん、舞様は笑っている方がいい。
その笑顔のためなら、何でも出来るから。
交わした約束を胸に……
きっと私は、武功を上げて帰って来よう。
そう心に誓い、舞様の手をゆっくり握った。
「舞様、折角だから少し星を見ませんか」
「うん、いいよ」
「七夕ですしね、城に向かう途中で見上げたら、落ちてきそうなくらい星が光っていましたから」
「わぁ…すごいね」
「では、行きましょうか」
そうして、繋いだ手のひらから温もりが伝わって。
私はこれからの事を思って、笑みが漏れた。
きっと、私と舞様は……
これからずっと、こうして手を繋ぎ、一つの道を歩いていくんだ。
時に困難があっても。
織姫と彦星のように、離ればなれになってしまっても。
きっと私達は、まためぐり逢う。
天翔る星の下で、きっと────…………
愛しい人に、想いの花束を。
貴女はいつでも、私の輝ける星ですよ。
星屑が天空に舞う。
その空を、愛おしい人と見上げながら……
お互い温もりを確かめ合うように、唇を重ねたのだった。
《満天の星に願いを込めて 三成ver.》
終