第5章 ◆君が居れば、何も要らない*信長、秀吉、家康*
《君が居れば、何も要らない 秀吉ver.》
────足りないんだ、どうしても
「ぁっぁあっ…秀吉、さんっ……!」
例えお前が泣いて喚いても、止めてやれない。
お前が愛しすぎて、もっと愛したくて、
走る熱情を、止めてやるなんて出来ない。
ごめんな、酷い男で──……
「っぁ……」
小さく呻き声を漏らして、躰を震わせる。
直後、躰を駆け抜けていく快感。
俺の白濁とした欲望が、舞の躰の中に放たれた瞬間だった。
直後、俺達は二人で脱力して…
俺は舞の背中に覆いかぶさりながら、荒くなった息を整えた。
(……ああもう、みっともねぇ……)
舞の腹に吐精したのは、今夜に限っては一度ではない。
かなり無理をさせている自覚があった。
いつも以上に性急に求めているし……
あまり甘やかしてやれていないと。
自分の欲望ばかり暴走して、ただの『獣』に成り下がっている自分に気づいていた。
それなのに──……
何故、そんな自分が止められないのだろう。
いつもはもっと自制出来ているはずなのに。
舞の温かく柔らかな躰を実感するたび…
己の止め金が外れてしまって、戻らない。
「はぁ、はぁっ…秀吉、さん……」
「ん、大丈夫か、舞……?」
「大丈夫…なんか今日、秀吉さんいつもと違うね」
「……」
舞にそう言われて、思わず口を噤む。
舞は今日の俺をどう思っているのだろう?
こんな男の本能丸出しの俺を…
きっと、呆れているに違いないが。
「嫌か、こんな俺は」
「秀吉さん……」
「こんな馬鹿みたいにお前を求めて、本当にしょうがない男だよな。でもなんか…足りないんだ」
「……」
「お前を奪っても奪っても、もっと…って思っちまう。俺を見てくれって、俺の方を向かせとかないとって…自制出来なくて焦ってる」
舞を背中から掻き抱きながら、敢えて本音を口にした。
こんな俺は嫌だろうな。
余裕なんて、まるでない今の俺は…
舞に呆れられる覚悟でいると、舞は躰に回された腕に優しく触れながら、小さく首を横に振った。