第3章 濡れる君の肌と淡い声*幸村、政宗、光秀*
「私は…政宗が傍にいてくれれば、それでいい。こうして抱き締めて、優しく触れてくれるだけで…幸せなの」
(……っっ)
そのまま舞は瞼を閉じる。
すると僅かな時で、安らかな寝息が聞こえてきた。
騒ぐのは、俺の鼓動だけ。
安心して身を委ね、静かに寝息を立てる舞に……
俺はちっと舌打ちをし、頬が火照り始めるのを感じながら、呻くように言った。
「これじゃ、生殺しじゃねぇか…寝落ちる直前で、可愛い事言いやがって」
────うるさい心臓と、打ち付ける雨音
それらが合わさり、共鳴して耳に届く。
静かな部屋の中、舞の寝息と混じって、それだけが響いて……
火照る身体と、疼く心。
それらを持て余し、どうしようもならない熱に浮かされていく。
「治ったら覚えとけよ、舞。めちゃくちゃになるまで啼かせてやる、優しく触れるなんて…出来ないからな」
そのまま目を閉じてみても、俺には睡魔なんて襲うわけがなく。
雨音を聞きながら、長い夜を過ごすハメになる。
温かな体温と、まだ少し湿った柔らかい髪と、舞特有の甘い匂いと……
それらは俺を満たしながらも、どうしようもない渇望を生んで。
改めて、みっともないくらいに溺れていると。
その事実は、抗えない現実だと自覚させられる。
だから、覚悟しろよ、舞?
お前の一生は俺がもらった。
俺なしじゃ居られなくなるくらいに、もっと溺れさせて……
────そして、お前を死ぬほど幸せにしてやる
少し高めの体温が、着物越しに伝わる。
俺は小さな愛しい存在を、胸に抱きながら……
眠れぬ一夜の幕開けに、苦笑いを浮かべたのだった。
《濡れる君の肌と淡い声 政宗ver.》
終