第3章 濡れる君の肌と淡い声*幸村、政宗、光秀*
「ごめんね、政宗……」
「なんで謝る、謝ることないだろ」
「だって久しぶりの休日で、折角朝まで一緒に…」
そこまで言って、舞はどもると、気まずそうに視線を逸らした。
なんだ、そーゆー事か。
舞の言わんとする事を理解し、俺は胡座に頬杖をつくと、艶をまとったような声色で言った。
「折角久しぶりに俺に抱かれて、たっぷり甘やかされる筈だったのにな、残念」
すると、舞は手で毛布を引き上げ、頭から被ってしまった。
なんだ、この可愛い行動は。
図星を指されて、照れてんだな。
俺はそんな舞を愛しく思い、ぷっと吹き出すと…
舞に寄り添うように、隣で横になった。
そしてまるで子供をあやす様に、毛布の上から舞の身体をぽんぽんと叩き、なだめる様に言う。
「だったら、早く良くなれ。治ったらお前が音を上げるまで、愛してやるから」
「うー……」
「ついててやるから寝ろ、子守唄でも歌ってやろうか」
「大丈夫、寝る…おやすみなさい」
毛布越しから聞こえる、少し悔しそうな声。
よっぽど今日、一緒に夜を過ごすのを楽しみにしてたんだな。
そう思ったら、頬が緩むのを止められない。
まぁ、最近忙しくて、構ってやれてなかったし。
今日の舞のはしゃぎっぷりを見ていると…
一緒に過ごすのを、どれだけ楽しみにしていてくれたのかが、よく解る。
(本当に…可愛い奴)
俺は頭を隠している毛布をぺらっと捲り、そこから姿を見せた、林檎みたいな真っ赤な顔に手を当てると。
ちゅっ…と熱い額に優しく口づけた。
そのまま毛布ごと、ぎゅっと小さな身体を抱き締める。
ほかほかと移る温もりに、安堵感を覚えながら……
癒すように、優しく優しく囁いてやる。
「なら治ったら、お前の言うこと何でも聞いてやる」
「え……?」
「俺にして欲しいことを考えとけ。まぁ、お前を甘やかすのは決定事項だから、それ以外でな」
「……」
「だから、今日は大人しく寝とけ。ほら…おやすみ」
再度額に口づけ、頭を優しく撫でると。
舞は少し微睡みながら、俺の方に擦り寄り、まるで熱に浮かされたようにふわりと呟いた。