第3章 濡れる君の肌と淡い声*幸村、政宗、光秀*
《濡れる君の肌と淡い声 政宗ver.》
「あー随分濡れたな、大丈夫か、舞?」
雨の町の中を舞と二人で走り、そして御殿へ一目散に駆け込む。
ほっと一息ついて、濡れた前髪を掻き上げると。
隣で濡れねずみになった舞が、くしゅんと小さくクシャミをした。
────舞と逢瀬をしていた、久しぶりの休日
あまり天気が良くないのは解っていたが、それでも舞があんまり楽しそうにしているから……
ついつい天気なんてそっちのけにしていたら、コレだ。
市に居た時点で突然の雨になり、傘もないから二人で御殿まで全力疾走。
結構激しい雨だったのもあり……
お互いどっぷり濡れて、見るも無惨だ。
「大丈夫か、寒いか?」
「寒い…寒くて、熱い……」
「ん?」
へんてこな舞の答えに、俺は小さく身を縮める舞の頬に手を当て、くいっと上を向かせる。
すると、舞の頬は燃えるように熱く…
瞳は潤み、薄く開いた唇からは熱い吐息が漏れていた。
それにびっくりして、思わず額に手を当てる。
じりじりとするような熱が伝わり…
濡れてひんやりしているのは着物だけで、舞自身は熱が高いのだと初めて知った。
「随分熱いな、雨に濡れたせいで熱が出たか」
「うー……」
「こうしちゃいられねぇ」
「きゃっ……」
俺はふわりと舞を横抱きにすると、そのまま急いで部屋へと運んだ。
着物を脱がせ、肌を拭いて髪も拭いて……
そして、綺麗な寝間着を着せて、褥に寝かしつける。
舞は文句も言わず、赤い顔でされるがままになっていた。
濡れた着物を、華奢な身体から脱がす時……
白い肌に火照った感じが、やたらと唆られ、うっかり手を出しそうになってしまった事は内緒にしておく。
「────大丈夫か、舞」
布団に横になった舞の傍に付き、やんわりと額の髪を掻き上げ梳いてやると……
舞は赤い顔で俺を見上げ、なんだか少し申し訳なさそうにぽつりと呟いた。