第2章 君との✕✕は甘く切なく*信長、光秀、家康*
「俺に背中を向ける悪い子には、仕置きだ」
「え?」
「……こうする」
俺はそのまま、細い首筋に甘く噛み付いた。
唇でちゅうっと吸い、くっきりと痕をつける。
すると、舞はびくっと肩を震わせ、噛まれた首筋を手で押さえながら振り返った。
「ちょっ…光秀さん!」
「どうした」
「どうしたじゃありません、こんな所に口づけたら、みんなに見られちゃいます!」
「別に見られたって構わないだろう。むしろ自慢してこい、政宗や秀吉あたりに」
「しませんからっ、まったくもう……!」
そう言って、唇を尖らせる。
舞を見ていると、意地悪したくなる気持ちは全く変わらないのだな。
そう思って、思わず苦笑した。
まぁ、これからは意地悪した後には、たっぷり甘やかすのだけれど。
俺は舞の手を取ると、そのまま体制を変え、舞を昨夜のように褥に組み敷いた。
掴んだ手も、絡めて布団に縫い付けて。
そして、舞を見下ろしながら、にやりと笑って言葉を紡ぐ。
「舞、まだ朝のお約束とやらが終わっていないぞ」
「朝のお約束?」
「おはようの口づけをしていない、させろ」
「……っもう、そーゆー可愛い光秀さんは反則です」
「可愛いのはお前だ、変な事を言うな」
「しょうがない人ですね、光秀さんは」
くすくすと困ったように舞が笑う。
あまりに愛らしいので、その唇をすぐさま奪ってやった。
甘い甘い舞の唇。
しっとり濡れて、柔らかくて……
それはまるで、昨夜貫いた舞の中と同じだ。
角度を何度も変えて、柔らかく噛みついて。
次第に漏れ出す舞の色っぽい声も耳をくすぐり、身体がまたじわりと熱を帯び始める。
昨夜、散々奪った。
奪って奪って、奪い尽くした。
それでもまだ、足りないと思うなんて……
この小娘に、よほどほだされてしまったらしい。
身体が渇き、また満たされたいと思ってしまうから。
(しょうもない男に成り下がったな、俺も)
そう自覚したところで、愛するのは止められない。
骨の髄まで奪い尽くしたって……
それでも尚『欲しい』と思ってしまうのだから。