第2章 君との✕✕は甘く切なく*信長、光秀、家康*
(想いを、言葉で───………)
それはすなわち、舞からの『答え』
俺がぶつけてきた感情に、言葉で返すこと。
舞の想い、そんなのは解っているが。
それでも、言わせたい。
その唇から、愛を囁く言葉を……聞きたい。
(────愛していると、言わせたい)
「解った、貴様の言葉を奪うとしよう」
「絶対ですよ?」
「俺は約束を違えたりはしない、その代わり…俺とも約束をしろ」
「約束?」
「俺が勝って、貴様の言葉を奪ったら…その先を決して拒まないと」
すると、舞は一瞬驚いたように目を見開き……
やがていつものような、ふにゃりとした笑みを浮かべると、たった一言。
────『はい』と。
とても幸せそうに呟いた。
俺達は、互いにとても不器用だと
勝負に託けなければ、想いを通わせる事も出来ない
────言葉にしたら、止まれなくなる
絶対に負けない俺と、負ける事を見越した舞
もう、結末など解っているのに……
それでも俺達は
頑固なまでに『勝負』にこだわるのだろうな
(だが、舞をこの手に出来るなら)
ようやく、身に巣食う熱が救われる
次に囲碁勝負をして決着がついた瞬間に
俺はきっと堪らず舞の全てを奪うのだろう
そして、舞が拒まないのも解っているから
きっとめちゃくちゃに貪って、攻め続けて
────蕩けるような、甘い夜になるのだろう
「舞、勝負は明日の夜だ」
「解りました!」
「しっかり腕を磨いておけ。俺は負けんがな」
「むっ…私だって頑張りますからっ」
こうして、今宵は更けていく。
明日に甘やかな予感を残して。
今度は、今宵よりも甘く甘美な音が響き渡るのだろう。
明日まで、一日千秋の想いだ。
俺は小さく苦笑しながら……
必ず来る蜜なる夜に、思いを馳せたのだった。
《君と✕✕は甘く切なく 信長ver.》
終