第2章 君との✕✕は甘く切なく*信長、光秀、家康*
「んっ…んんっ、ぁ……」
舞が甘い息を漏らし、胸元を掴んできて。
俺はそのまま上半身に体重を掛け、舞の身体を押し倒した。
舞の背中がゆっくり絨毯に付き、重みでさらに唇が深く重なる。
俺は舞の唇を貪り、充分にその柔らかさを堪能すると、悪戯に何回か啄んで唇を離した。
ちゅっ…と甘い水音を残して離れてみれば、舞は息を荒らげながら熱に浮かされたような瞳で見上げてきて……
それを見下ろしながら、俺は唇で弧を描いた。
「……良い顔をしている」
「はぁっ…はぁっ…え……?」
「気持ち良かったようだな、俺の口づけは」
「ち、違っ……」
「ならば、何故そのような蕩けた顔をしている?」
「……っっ」
すると、舞は唇を噛んで、顔を背けた。
真っ赤な林檎のような頬、口づけが嫌ではなかった事は、手を取るように解る。
────嫌ではないなら、早く俺の手に落ちてこい
俺はそっぽを向いている舞の頬に手を添え、強引に上を向かせた。
そして、その潤む瞳を見据え……
心中を焦がす、その想いを言葉にする。
「俺は貴様が気に入っている、毎夜夜伽を命じても良いと思えるくらいに」
「信長、様……」
「俺の褥を温めに来い、舞。存分に愛でて、貴様の躰も心も俺のものにしたい」
「……っっ!」
「嫌ならこのまま囲碁勝負を続け、順々に俺のものにしても良いがな。結果は変わらん、いずれ貴様の全てを奪う」
俺は命じる以外に、やり方は知らない。
相手の逃げ場が無くなるまで追い詰め……
そして奪う、そう言う攻め方しか知らない。
愛情も、言う事を聞かせ、屈服させるしか。
すると、舞は噛んだ唇を解き。
決意を滲ませたような声色で、言葉を紡いだ。
「ならば…信長様、私と約束してください」
「約束?」
「次に貴方が勝ったなら…奪うなら私の言葉にすると」
「言葉を?」
「はい」
舞は一度ゆっくり瞬きをし。
まるで『その瞬間』を望むかのような、期待に満ちた眼差しを向けてきた。
「私の想いを言葉にします。負けたなら…その言葉を奪って受け取ってください。もし勝ったら、逆に貴方の想いを言葉で私にください」