Rein Carnation《進撃の巨人/ライナー》
第6章 Pathetic mind
暗くなった社内を進み、エレベーター前に立つ。
「ところで、いつからライナーとは仲が良くなった?」
「へ!?ラ・・・ブラウンさんとですか!?特に何も!!」
「へえ、だが夕方、君を探していたよ」
「わ、私をですか?」
だが、スマートフォンには連絡はない。
「何故だろうな?」
エルヴィンの声が近付く。
ああ、エレベーター、早く来て。
エレベーター前の壁に、エルヴィンが結衣の後ろから逃がさないように手を置いた。
背筋が伸びる。
「わ、分かりません。仕事では?」
「違うみたいだった。もっと、私的な用事だったようだよ」
「何故分かるんですか」
「コレを渡すように言われた」
結衣の目の前に出されたのは、結衣が使っているリップ。
「そういえば…君は今日リップを塗っていなかった。そしてコレを君宛てにライナーが持ってきた」
「あ・・・あ!よかった!見つかった!社内に落としちゃって!たまたま居たブラウンさんに一緒に探して頂いたんです。良かった、お気に入りだったから」
エルヴィンに悟られてはならない。
結衣はエルヴィンの手からリップを取ろうとするが躱された。