第2章 消えない疼き〈完〉
部屋に入り
葵を座らせてから自分も正面に座る。
「首みせて」
「えっ?」
「気が付かないと思った?」
「わーさすが家康さん」
「いいから早くして」
葵が降ろしていた髪を片方に寄せ、首筋を見せる
「…あんた…これ痛かったでしょう?」
「さっきはびっくりして痛まなかったんですが、落ち着いたら痛くなってきました」
「どうせ秀吉さんに心配をかけないようにって言わなかったんでしょ?」
「…それだけじゃないです」
「なに他にもあるの?」
「家康さんにも心配をかけたくなくて」
「あんたバカじゃない?
傷が残った方が迷惑!そういうのやめてくれる?」
「…ごめんなさい」
「ちょっと見るから、我慢して」
傷口を見ていた家康が眉を寄せる
「ちょっと吸い出した方がいいかもな」
「え?」
立ち上がり葵の後ろに回る
「これはちょっと腫れるかもしれないから、吸い出すよ」
「えっ吸うって…」
言うや否や、首筋に口を寄せる
首筋に家康が唇を触れさせたとたん
「ひゃあぁっ」
弾かれたように家康が口を外す
「なっなに?」
葵が真っ赤な顔をして首をすくませてる
「だって…くすぐったくて」
家康が耳まで赤くして横を向く
「治療なんだだから変な声出さないでくれる?」
「ご、ごめんなさい。ビックリして」
「家康さんごめんなさい。今度は大丈夫ですから」
「ちょっとまって、どうやるか考えるから」
葵の横に移動して、
吸えるかどうか思案してみるが、お互いの頭が邪魔して吸えない事が容易に想像できる。
今度は前に移動して吸えるかどうか考えるが、
抱きしめる形になり進んでやることはできない。
また後ろに移動して、吸う態勢を考える。
うん、やっぱり後からが一番いいかもしれない。