第2章 消えない疼き〈完〉
今日は信長の気まぐれの命により
葵を城に連れてきていた。
軍議と謁見も終わり、
御殿に戻るため廊下を連れ立って歩いていく
「こらっウリっ」
秀吉さんの声が聞こえ、家康が声の方に顔をむけると
「え?」
後ろを歩いていた葵の頭から首にかけて
勢いよく飛びついた子ザルが見えた
「きゃっ」
葵はそのままバランスを崩し
廊下から中庭に身を投げ出しそうになっている
「葵っ!」
手を掴み、自分の方に引き寄せる
葵を胸に抱きホッと息を吐いた
廊下の角からひょっこり秀吉さんが顔をみせる
「葵、すまん!ケガはなかったか?」
「秀吉さん!連れてくるならちゃんと面倒見てくださいよ!
誰彼構わず飛びついたら危ないでしょう!
廊下から落ちたらどうするんですか!」
「悪かった。家康がいてくれて助かった。
葵大丈夫だったか?」
「びっくりしたー大丈夫です。家康さんが助けてくれたので…」
ゆっくり葵を抱いていた腕を離す。
秀吉が何度も悪かったなと言いながら
ウリをつれて去っていくのを見届けてから
「一旦俺の部屋に寄るよ」
と、進んでいた方向を変える
「?はい」