第6章 酔いの代償 〈完〉
衝撃的な目覚めをした翌日
眠れない朝を迎えた家康は鍛錬をしようと
武道場へ向かう
そこには既に政宗さんがいた
「どうだ、久しぶりに手合わせをしねぇか?」
気分転換になっていいかもしれない…
お互いに汗だくになり諸肌を脱いて汗を拭きとる
「家康」
名を呼ばれて顔をあげると
政宗さんがニヤニヤしてこちらを見ていた
「なんです?」
何かからかいのネタでもあったのかと嘆息する
「とうとうお前にもそこまで気を許せる奴ができたか」
「は?」
「しかし情熱的なヤツだな、
俺もそういうヤツは嫌いじゃないぜ?」
「何を言っているんですか?」
「気づいてねえのか?お前の胸にある痕だよ」
「痕?」
自分の身体を見下ろすと
胸のほぼ真ん中に
虫に刺されたように赤く丸い痕が目に入る
?
手で触ってみるが…
虫に刺されたか?でも腫れも痒みもないな
「へぇお前に気づかれないように付けたか
ますますその女に興味がわくな」
女?
その赤いものが何なのかにやっと思い至り
バッと立ち上がって背を向ける
「じゃ、俺はこれで」
着物を整え
武道場を後にする家康の背に声をかけられる
「あとで会わせろよ」