第5章 アクシデントの活かし方(蘭丸BD)/口づけの意味02 〈完〉
蘭丸君は信長様に促され
今日の城下での事を掻い摘んで話し出した
「これまでの事を考えても、
葵様は問題に巻き込まれる頻度が
普通の女人より格段に高いんです。
今日の件もありますし、
信長様の命により従者兼護衛をつける
という事に決まりました。」
問題に巻き込まれる頻度が高いかぁ
そんなことはないと思う、、けど
「蘭丸君…私を問題児みたいに」
前に座っている家康さんが、
首だけ後ろに向けていう
「問題児であることには変わりないでしょ?」
以前も家康さんに言われたから
結構気をつけるようにしているんだけど…
「そんな…家康さんまで」
「いい加減にしてくれる?
ちゃんと自覚しろって言ってんの!
迷惑をかけられるこっち身にもなりなよ」
家康さんが、苛立たし気な目線をむけながら冷たく言い放つ
「あっ…ごめん、な、さい」
弱い奴は嫌いだって言われてるのに
俯いて涙をこらえる
私はいつも迷惑かけてばかりだから
嫌われてて当たり前だった
先ほど強く抱きしめられ感じてしまった温かさがより、惨めさに拍車をかけてくる
ばかみたい…
そんなやりとりを見ていた蘭丸君が駆け寄ってきて
蘭丸君が手を握ってくれる
「違うよ!葵様。
葵様が魅力的だから心配なんだよ。
大丈夫だからそんな顔しないで?ねっ?
ごめんね。俺が変な言い方したからだよね」
蘭丸君の優しい言葉にホッとするけど
沈んでしまった心は浮上しなかった
「ううん、蘭丸君は悪くない。本当の事だから。ごめんね」
「葵様、こっち来て」
手をひかれ、信長様の近くに腰を下ろす