第4章 桃のビスカウト(蘭丸BD)/口づけの意味01 〈完〉
変な空気を察してか蘭丸君が
「皆さん大丈夫です。
葵様の言葉は有難くそのままいただきます。葵様ありがとう。すごく嬉しいなっ」
良かった、おかしなことを言ったわけじゃなかったんだ
また揶揄われただけなんだろうな
ほっとしながら後ろに置いてあった風呂敷を蘭丸君の前に差し出す
「あと、蘭丸君これ、蘭丸君は余り着物を着ないけど、一枚したててみたの
何かの機会があれば着てね」
「わぁすごい綺麗な着物」
「蘭丸君をイメージして選んでみたよ
蘭丸君はとっても華やかだからこういう色でも似合うと思う
来年は、ちょっと落ち着いた着物にしてもいいと思っているんだ」
「来年?」
蘭丸君がキョトンとした顔をしてくる
「うん、来年も再来年ももっと先も蘭丸君の着物を仕立てるよ」
私はもう現代には帰らないって決めたんだから、ずっとみんなと居られる
仕立て続けられるまで仕立ててあげたい
「葵、お前は本当に悪女だったようだな」
呆れたような信長様の声した
「悪女?!何でですか!」
すると、先ほどのように皆も重ねてくる
「悪女だな」
「とんだ悪女だ」
「悪女に見えない悪女程手の付けられぬものはない」
「はぁアンタってほんと…」
「皆さま何の話をされているのですか?」
「三成お前は黙ってろ、余計ややこしくなる」