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イケメン戦国~IFな小噺(家康only)~

第4章 桃のビスカウト(蘭丸BD)/口づけの意味01 〈完〉


~蘭丸side~

夕餉のあと、まだ葵様と一緒にいたくて
中庭に面した廊下に座って話していた
いつもは邪魔してくる方々も今日は大目に見てくれているみたい


「葵様、今日は本当にありがとう」

「どういたしまして」

ふわっと微笑まれ
くすぐったい気持ちになる
女の人の笑顔を見てこんな気持ちになるのなんて葵様が初めてだ


「誕生日を祝ってもらうのってこんなに嬉しいんだね
今までこういう気持ちになることがなかったから
ちょっと驚いちゃった」

誕生日はこれまでも祝われたことはある
今日だって、城下や女中の人達から
沢山の贈り物を渡され
祝いの言葉も言われた
だけど、こんなに嬉しいって思わなかった


「そっか、これからも皆で祝おうね!」

「うん、ありがとう
葵様の誕生日も俺にお祝いさせてね!」

葵様は嬉しそうに笑ってくれる
ああ、この人にはずっと笑っていて欲しい



誕生日を祝われることが
こんなに嬉しいとは思わなかった

生まれてきてくれて良かったと言われることが
ここまで幸せにしてくれるなんて知らなかった

次の年もその先もと思ってくれる人がいるということが
これほど勇気になるって考えたこともなかった



「葵様、手を貸して」

「?」

そっと手を差し出すと
戸惑ったような顔をしながらも重ねてくれる

ゆっくりと自分に引き寄せ、指先に口づけをした


「蘭丸君…」

「俺はあなたを必ず守るよ
これはその約束のしるし」

「…ありがとう」


必ず守る
なにがあっても
なにを犠牲にしても
その笑顔もあなたの未来も

俺はあなたがいるから強くなれる


指先への口づけ:礼賛


(次ページあとがき)
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