第4章 桃のビスカウト(蘭丸BD)/口づけの意味01 〈完〉
夕餉の時間となり広間にいくと既に皆そろっていた
最後に信長様が座られ夕餉が始まる
「蘭丸!今日はお前の誕生日だろう?お前の好きなものをそろえたからちゃんと味わえよ!」
「蘭丸!おめでとう!!」
「ありがとうございます!」
蘭丸君はいつもより笑顔で本当に嬉しそう。
よかった
夕餉が進み
「信長様、今日は甘味を私が準備させていただいたのですが
そろそろお出ししてもよろしいでしょうか」
「ああ、持ってまいれ」
一人ひとり紙に包んだものを渡していき
最後に蘭丸君に一回り大きい紙袋を渡す
「じゃー皆さんどうぞ!」
信長様の分は、椀にだし、近くへもってく
「桃か?」
「はい!今日は蘭丸君の誕生日ですので、桃のビスカウトを作ってみました
ビスカウトは南蛮の保存食なのですが、現代では甘くしてお菓子として食べられているんですよ」
「ふむ、味わったことのない風味と食感だな…悪くない。」
「ありがとうございます!蘭丸君はどう?」
蘭丸君専用に作った大きめのビスカウトに口をつける
ぱくっ
「美味しい!見た目だけじゃなくて桃の味がする!」
「うん、桃を甘く煮て練り込んであるの。葉っぱの部分は抹茶で甘さ控えめにしてあるよ。」
「とっても美味しい。形も可愛いし、食べるのがもったいないくらい!葵様ありがとう!」
「どういたしまして、喜んでくれてよかった
いつも蘭丸君にはお世話になってるから、いつもありがとう
これまでいっぱい助けてくれてありがとう
17年前の今日に蘭丸君が生まれてきてくれてよかった」
「えっ」
蘭丸君が驚いたように目を真ん丸にして私をみてくる
「えっ??」
なんか変なこといったかな?
あれ?年齢が違う??
まわりに目を向けると
呆れたように声をかけられる
「おい葵、それは蘭丸を口説いてんのか?」
「は?口説くって?」
「お前分かってないなら、そういうことはあまり言うな」
「そうだよ、あんたのその無自覚・無防備・無邪気をどうにかして」
「問題を自分で招いているということに気づいた方がいいぞ、周りの為にな」
「私も生まれてきてくれて良かったと思っていますよ?」
「…」