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イケメン戦国~IFな小噺(家康only)~

第3章 雨担当の憂鬱〈完〉


~家康side~


「葵、昨日はごめん」

唐突に自分の口から謝罪の言葉が転がり出る

「あんなことして悪かったと思ってる
許してくれとは言わない
もう二度とあんなことはしないから、、、怖がらなくていい
あんまり外には出してあげられないけど、
そう頻繁じゃなければ蘭丸とまた出かけていいから
もちろん、蘭丸からもらったものも御殿内で身につけてくれていい
もう怖がらせることはしないって約束する
それでもこの御殿に居たくないというなら
誰かの御殿に移れるよう手配する
じゃ、俺からの話は終わり
もう下がっていいよ」


葵は少しの間、無言で座っていたが、スッと立ち上がると、開いた襖から廊下に出てく



なにも言ってくれないか…
まぁ自分があんなひどいことをしたんだから仕方がない
秀吉さんか政宗さんの御殿がいいだろうか?

大切なものを自分で守ることができない苛立ちにどうにかなりそうだ



やるせなさから動けずにいると

開いた襖から葵が顔を出し、開け放たれていた襖を締め中に入ってくる

「家康…これ」

「え?」
手には綺麗に畳まれた羽織があった
昨日葵に掛けたものだ

「羽織、、少し皺になっちゃったけど」

「ああ、いや気にしなくていいよ」




「…あと、これなんだけど」
葵の手には美しい色合いの飾り紐がのっていた

「お守りになればいいと思って、小さめの飾り紐を作ってみたの。良かったら貰ってくれる?」
もう貰う事はないだろうと諦めていたので、声が裏返りそうになるのを気力で抑える

「俺にくれるの?」

「うん」

飾り紐を受け取り

「か、ざしは?」

お揃いで作ったという簪のことを聞いてみる

「え?」

「昨日つけてた簪も飾り紐だったよね?」

「あっあれは…」

「見たい、、見せて?」

少し逡巡して懐から簪を取り出す
取り出された簪は、
自分の手の中にある飾り紐と元々一つだったといっても遜色なく
対であること感じさせるものだった。


「あっあのこれは…」

真っ赤になって、どう言い訳をしようか悩んでいる顔がとても愛おしい

「葵に似合う綺麗な簪だね」

揃いであることには気がついていないように答えてあげる
気が付かれなくてよかったとホッとする顔が可愛くてたまらない
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