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イケメン戦国~IFな小噺(家康only)~

第3章 雨担当の憂鬱〈完〉


ぼーっとしている家康のところに
葵が満面の笑みで駆けてくる。

「家康!こんなところにいたんだね!」

確かに可愛い
いつもとは違う着物で、色合いで、髪形で、
違う男の色に染められてしまったかのようだ…
全部はぎ取って俺色に染めなおしたい


近づいてきた葵が
俺の顔をみてビクリと身体を震わせた
自分でもわかる位、葵に冷たい目を向けている

「あの…」

「朝からうるさいね、あんたたち。さっさと行きなよ。迷惑なんだけど…」

「ご、ごめんなさい。今日は外出を許してくれてありがとう」

「宿泊の許可も欲しいなら、あげるけど?」

「えっどこに泊るの?」

「面倒くさい…早くいけば?」

「…私が帰ってくるのは家康のところしかないよ?
じゃ、帰りが遅くなるかもしれないけど…
いってくるね…」

悲しそうに目を伏せ、背をむけた葵の手を掴む。

顔をそらしながら

「夜遅くなるのは許さないから!
探しに行くのは面倒だからちゃんと早く帰ってきなよ
蘭丸に迷惑かけないようにね」

先ほどまで悲しげだった顔がぱあっと明るくなり
家康に笑顔をむける

「うん。じゃ、いってきます!家康もお仕事頑張ってね!」



『帰ってくるのは俺の所しかない』か…
こんな一言で、昨日から感じていた黒い感情が薄くなった気がする自分は随分単純だ




が、続いて聞こえてきた
御殿の厩にいる二人の声でまた苛立つ


「おまたせ!」

「葵様、馬は初めてだっけ?」

「安土に来てすぐに信長様と乗った切りかな。」

「じゃ俺の腰に手を廻して、そのまま寄りかかってみて
疲れちゃうから力抜いてね
うん、そう
俺が支えてるから大丈夫
葵様とこんなに近づけて嬉しいなー」

「もう、蘭丸君はそうやってからかうんだから!」

「だって葵様が可愛いんだもーん。じゃ進めるよ?」

「うん」

「どう?怖くない?」

「うん怖くないよ」

「良かった」


楽しそうな声がどんどん離れていく
家康は後悔していた
弓術より馬の乗り方が先だった…と
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