第2章 消えない疼き〈完〉
朝、家康の目の前の俯いている葵に問いかける。
「今日はどうする?」
「…前で、、お願いします」
「…分かった」
葵が恥ずかしそうに家康を見上げ提案してくる
「あの、昨日みたく座った状態ではなく、
膝を立ててするのはどうかと」
そうか、足が邪魔にならないから腰を引き寄せる必要がなくなるってことか!
「いいんじゃない?」
膝立ちして向かい合い声をかける
「じゃ、いい?」
「は、はい。」
背丈が違うので、少し家康がかがむことになるが、
身体を密着させる必要がないなら大丈夫だろう
なんだ最初からこうすれば良かったんだ
幾分気を抜いて肩に手をやり首筋に口をつける
かぷっ
「ひっひあぁ」
口をつけたとたん葵の腰が落ち、
後ろに傾いたことでバランスが崩れる
まずいっ
倒れ込む前に
葵が床にぶつからないように背を支え
片方の腕を床に付き自分の身体を支えた。
ふうっ
嘆息して葵を見下ろすと
思いがけず顔が近くにあり、固まる
「あっあのっ…」
葵の戸惑うような声で気が付き
無関心なそぶりで
ゆっくりと葵の身体を床に降ろしていく。
自分の胸に添えられていた葵の手を
葵自身の口に誘導する
その上から自分の手を添えつつ、葵の首を傾かせた
「そのままで」
ゆっくりと葵の首筋に口をつけた
かぷっ
ちゅー
「んんっ、んー」
心を無にして処置をすまし、
葵を床に転がしたまま、立ち上がる。
そして目線もやらずに声をかけた
「じゃ俺は出かけるから、
あんたは落ち着いたら部屋に帰りな」
「…は、い」
城への道を歩きながら、口元に手をやる。
「くそっどんどんまずい方向にいってるっ」
耳まで赤くなった顔は城についても
しばらく落ち着くことはなかった。