第10章 打ち上げ
一度家に帰り、学校近くのファミレスに再集合することになった。
さつきと大輝、2人の幼馴染みと私の家の前で待ち合わせをしたけど、何分待っても大輝が来ない。
「もう!青峰くん遅い!」
シフォンのブラウスと花柄のスカートを身に纏ったさつきが頬を膨らます。
女の子らしい服装のさつきは、一層可愛さが増したような気がする。
「あ、大輝きたよ」
「ほんと何でこんな時間かかるのよ…」
「女子かっつーの」
散々イヤミを言われているとは知らず、余裕な顔で大輝が家から出てきた。
「遅い!」
「寝てたんだよ」
「ムカつくくらい自由だね」
「うっせーなぁ、早く行くぞ」
「遅れたのは青峰くんでしょ!」
ギャーギャーとさつきが騒ぎ、私がそれを宥めて大輝が流す。
いつも通りの空気が流れ、やっぱり居心地が良い空間だと思う。
幼馴染みって、いいなぁ。
なんて、最近よく思う。
クラスが違っても離れない人なんて、前はこの2人だけだったから。
-きっと、学校が違っても-
「瑠衣?どうしたのボーっとして」
「ううん、何でもない!」
「腹減って死にそうなんだろ」
「アンタじゃないんだから」
「あぁ!?」
今度は私と大輝が喧嘩し始めて、さつきが宥める役に回った。
そんなこんなで、ようやくファミレスに着いたけど、そこには誰もいなかった。
「あれ?もしや帰られた?」
「んなわけねーだろ。20分しか遅れてねーぞ」
「20分もだよ!みんな先に中に入ってるんじゃない?」
「あー、そうだね」
背の高い大輝が入口の天井に当たりそうになりながら入る。
その後に私とさつきが続いて入ると、聞き慣れた大きな声が聞こえた。
「青峰っち!こっちっスー!」
「あれー?桃ちんと瑠衣ちんはー?」
どうやら大輝が大きすぎて、後ろの私とさつきが見えないらしい。
大輝を横に押しのけて席に向かうと、なんだか驚きの光景が待っていた。