第10章 打ち上げ
教室でのHRが終わると次々と帰って行くクラスメート達。
やっぱりクラスで打ち上げとかやらないのかなぁ、少し期待してたのに。
仕方ないから私も帰ろうと荷物を持ったとき、教室の入り口でピンク色の髪が揺れているのが見えた。
「打ち上げするよ!!」
「…なんか久しぶりだね、さつき」
「そうだよ!最近全然会えなくて…じゃなくて、打ち上げするのぉ!!」
「分かったごめん!話逸らした私が悪かった!」
さつきの可愛い顔で睨まれても正直痛くも痒くも無いけど、罪悪感がハンパない。
にしても、相変わらず唐突だなぁ…。
「打ち上げって、誰と?」
「いつものバスケ部のみんなだよー。赤司くんは来ないけど…」
「なら行こう」
「アンタほんと赤司くん嫌いだな」
後ろから聞こえた声に振り返ると、真雪が冷ややかな視線を送っていた。
「だって喧嘩中だし」
「赤司くんと喧嘩中とか恐ろしすぎて学校来れない」
「赤司くんのせいで学校来れないとかマジヤダ 」
「あの、瑠衣?」
ああ、さつきは真雪と会うの初めてだっけ。
「ごめんさつき、この子が神田真雪だよ」
「あ、初めまして!桃井さつきです!」
「うん知ってる。さっちゃん有名だから」
「あだ名つけるの早すぎだよ真雪サン」
「ううん!あだ名嬉しいよ!」
頬赤らめて照れるさつきと対面し、真雪が何か言いたげな視線を送ってくる。
言いたいことは分かるよ真雪…でもこの子は天使じゃなくて人間だよ…。
「そうだ!良ければ真雪ちゃんも打ち上げ行かない?」
「打ち上げ?」
「バスケ部でやるんだけど、一緒にどうかな?」
「バスケ部って…キセキの世代!?」
その瞬間、真雪の目の色が変わった。
さつきの手をガッチリ掴んで、目をキラキラさせた真雪が叫んだ。
「行く!!」