第8章 熱です
バタン!
「ちょっと瑠衣ー明日体育祭なんだって?」
気持ち良い私の安眠を妨害するかのように、お母さんが部屋のドアを開け放った。
やはりお母さんは病人への気づかいをしない。
「もっと早く教えてよねー。あのイケメンくんが教えてくれなかったらアンタお弁当無しよ?」
「イケメンくん…?誰?」
「背の高い金髪の子!確か…黄瀬くんだっけ?」
お母さんがニヤニヤしながら言った名前に私は思わず溜息を吐いた。
あのシャララなモデルさんは、うちのお母さんまで虜にしちゃったらしい。
「そうそう!黄瀬くんがこれを瑠衣にって」
「え?」
お母さんが渡してきたのは黄色い袋。
大きさからして食べ物じゃないと思うけど…。
お母さんが部屋から出たのを見送って、リボンを解き袋を開けようとした。
その時、部屋のドアが再び雑に開け放たれた。
もう!お母さん乱暴すぎる!
そう文句を言おうとドアの方へ視線をやる。
「おかあさ…!」
「よお」
「へ…大輝?」
すると、そこには、怠そうに片手を上げた幼馴染みがいた。