第6章 変わっていく関係
ザッ、ザッ、ザッ…
俺は地面を蹴り上げながら、校舎裏を彷徨いていた。
あー…くそ、ムカつく。
何だよアイツ、瑠衣っちを何だと思ってんだよ!
瑠衣っちを物扱いするなんて許せねえ。
…でも、さっきの話で、瑠衣っちに初めて会ったときに少しだけ感じた
相手の思考を読もうとするような『眼』
の正体が分かった気がする。
自分の友達だと思ってた人が友達なんかじゃなくて、桃っちに近づくために利用されてただけなんて知ったら誰だって人間不信になりそうっスよ。
俺たちのときは青峰っちと桃っちが同じ部活だったから、警戒心は薄かったみたいっスけど。
多分、自覚無く初対面の人間の目的を探ったりしちゃうんだろうな。
≪俺もそうだったから≫
「辛かっただろうな…」
無意識にポツリと呟いた。
辛かったと思う。傷ついたと思う。
瑠衣っちはそれを知ったとき、どう思ったんだろう。
桃っちを嫌いになったりしたのかな。
その男のことを嫌いになったのかな。
…誰も嫌わず、自分の中に溜め込んだんだろうか。
なんか他人事に思えないっス。
ほっとけない、気になる、今すぐ会いたい。
授業終了のチャイムが鳴ると同時に、俺は校舎へ駆け出していた。