第1章 幼馴染み
「青峰くん、今日もいないね」
「うん、私も最近は全然見かけないよ」
「どこでサボってるんだろうねぇ?」
首を傾げた真雪に私は笑って返す。
実は私は、大輝がいつも屋上にいることを知っている。
1年の時、屋上に連れて行ってくれたことがあるのだ。
『どうだ、眺めいいだろ?』
『うん!夕陽が綺麗…!』
『誰にも言うなよ。連れてきたのお前が初めてなんだからよ』
そう言ってそっぽ向いた大輝の耳が赤く見えたのは、夕陽のせいなのか。
そうではないと、私は思いたい。
あの頃の思い出だけが、今の私の、淡く、消えそうな恋心を支えているから。