第5章 透明少年と本
~黒子side~
久瀬さんが図書室から出て行った後、緑間くんは大きく溜息を吐いた。
「楽しみですね、本の批評会」
「俺は仕方無くやってやるのだよ」
「全く…素直じゃないですね」
緑間くんの顔がいつもより緩んでます。
見れば分かりますよ。
緑間くんは意外と分かりやすい人だから。
「俺は教室に戻るのだよ」
「僕はもう少しここにいます」
そう言い緑間くんに背を向けたとき、彼の声が聞こえた。
「あれ、テツと緑間じゃねーか。何してんだ?」
「…お前こそ何故こんなとこにいるのだよ。俺達のクラスは逆方向だろう、
青峰」
変わらず眠そうな目をした青峰くんがこちらに歩いてきていた。
青峰くんは部活にあまり参加しなくなったから、会うのは久しぶりだ。
「なんでお前俺のクラスしってんだよ」
「俺とお前は同じクラスなのだよ!覚えてないのか!」
「青峰くんはそういうの興味なさそうですよね」
「まーな」
付き合いきれん、と言い捨て緑間くんは、僕たちに背を向けて行ってしまった。
その姿を見送り、溜息を吐いた青峰くん。
一見、以前と何も変わらないように見えるけど、青峰くんは溜息の数が多くなった。
前は溜息なんて全くしなかったのに…。
そういえば、久瀬さんも結構溜息吐くこと多いんですよね。
幼馴染みは溜息の数まで似るんでしょうか。