第5章 透明少年と本
「いいのだよ」
「へ?」
「本ぐらい貸してやると言ったのだよ。」
本を貸りるため、私は黒子くんと共に、緑間くんのいる図書室に来ていた。
厳しい戦いになると思っていた貸し出し交渉は、緑間くんの一言であっさり終わった。
「あの本は良い話だったのでオススメですよ。ねえ、緑間くん」
「フン…自分が好きな本を他人も好きとは限らないだろう」
吐き捨てるように言った緑間くんの言葉に、私は思わず緑間くんの両腕を掴んだ。
「私もそう思う!それ私の持論です!」
「!?…きゅ、急に何なのだよ!」
「本の好みが人と必ず合うとは限らなくて、でもだからこそ誰かと感想を言い合うのが楽しいんだと思うんです!」
「…俺は感想の言い合いなどしたことないのだよ」
「じゃあ私があの本読み終わったら、感想言い合いましょう!黒子くんも一緒に!」
私が急に話を振ったからか黒子くんは一瞬驚いた顔をしたが、すぐに優しく微笑んだ。
「いいですね。やりたいです」
「ほんと!?緑間くんは?」
「勝手にしろ…」
緑間くんは、やれやれと言った風に溜息を吐いた。
めんどくそうな態度の割には、そんなに嫌そうな顔をしてなかった。
…もしや緑間くんってツンデレ?
「…ぶはっ!」
み、緑間くんがツンデレとかないないない!
想像しただけでお腹痛い…!
腹筋割れる…!
お腹を抱えてヒーヒー言ってた私を、黒子くんと緑間くんは、さぞかし冷たい目で見ていただろうね笑