第5章 透明少年と本
昼休み、私は4組に来ていた。
私の目的は黒子くんに会うことだった。
ただ黒子くんは非常に影が薄いそうだから、4組の人に彼の居場所を聞いても分からないかもしれない。
さあどうしようかと考えていたら後ろから肩を叩かれた。
「久瀬さん、こんにちは」
「黒子くん!」
なんと黒子くんの方から現れてくれた。
今日はツイてるかも。
「あの、黒子くんにお願いがあるんだけど、今いいかな?」
「いいですよ。何でしょうか?」
「夏休みの勉強会のときに黒子くん、本読んでたでしょ?
あの本私の好きな作者の本で、よかったら貸してほしいんだけど…」
「いいですよ」
「本当!?ありがとう!」
即答してくれるなんて、黒子くん良い人だ…!
なんて思ったことを私は次の瞬間後悔する。
「それじゃあ行きましょうか」
「え…どこに?」
「緑間くんのところです」
「……何で?」
「あの本、緑間くんに貸りたものなんです。だから久瀬さんに貸すには緑間くんの許可を貰わないと」
黒子くんはそこで一拍おき、ニヤリと笑った。
「久瀬さんは緑間くんのこと苦手ですよね。でも本のために頑張って下さい」
……黒子くん、やっぱ性格悪っっ!