第4章 リレー選手
タイムを計っている場所へ行くと、先に走り終わった真雪が鬼の形相で詰め寄ってきた。
「ちょっと、あんたいつの間に黄瀬くんと仲良くなったの!?てか何故!」
「あー…まあ色々とあって」
「はぁ?」
適当にはぐらかすと、元々そこまで興味がなかったのか、真雪はすぐに話を終わらせ、退散していった。
頑張ってと言ってくれた真雪に手を振って、私はスタートラインに近づく。
うわ、今更だけど緊張してきた…。
でも走る前の緊張感って嫌いじゃない。
走ってる間は世界に自分しかいない気がして、少し寂しいけど爽快感がある---
…なんて詩人じみたこと言えません。
ただ気持ちいいだけ。そんなに速くないし、陸上のイロハとか分かんないし。
スタートラインに立ち、クラウチングスタートの体制をとる。
ただひたすら前に走るだけだ。
ピストルの発砲音が聞こえたと同時に地を蹴り上げた。