第4章 リレー選手
「あーっ!久瀬っちじゃないっスかー!2組だったんスね!」
ぎゃあっ!叫ぶなバカ!
黄瀬ファンからの冷たい視線が刺さってるよ!
私はダッシュで黄瀬に駆け寄り、必死に背伸びをして首根っこを掴んだ。
「お願いだから叫ばないで…!ファンの子の眼を見てよ!」
「き、気をつけるっス…それより、久瀬っちに会わせたい人がいるんスよ!」
黄瀬はそう言い、周りをキョロキョロし始めた。
暫くして目的の人をみつけたようで、大きく手を振ってその人を呼んだ。
「紫原っちー!ちょっと来てほしいっス!」
「えー?なに黄瀬ち~ん」
その声に反応した紫色の髪の人がゆっくりとこちらに歩いてきた。
…ん?なんかサイズおかしくない?
「久瀬っち、同じクラスでバスケ部の紫原っちっス!」
「え、デカすぎ…」
黄瀬も十分大きくて話してて首が痛いのに、なんだこの人のデカさは。
「なんかよく分かんないけど、よろしくー」
「あ、久瀬瑠衣です…よろしくお願いします…」
何で敬語なんスか、と言って笑った黄瀬にも苦笑いしか返せない。
自分より圧倒的にデカい人をみたら敬語にもなるだろうが。
黄瀬には一生分かんないだろーけどさ。
「ところで、久瀬っちは何の競技に出るんスか?」
「私は100M走と選抜リレーだよ」
「久瀬っち選抜なの!?意外っスね~!」
うん、誰かに言われると思ったよソレ。
「黄瀬もやっぱり選抜リレー出るの?」
「モチロンっスよ!久瀬っち見ててね!」
黄瀬が満面の笑みで親指を立てたその時、体育の先生が私の名前を呼んだ。
「あっ、じゃあタイム計ってくるね」
「頑張って!見てるっスよ!」