第3章 ファミレス
「…とにかく、もう俺にそういう話すんな。いいな」
私の横を通り過ぎていく大輝にデジャブを感じた。
これじゃ、この前と同じことの繰り返しじゃないか。
そんなの嫌だ…!
私は振り返り、大輝の左腕をしっかり掴んだ。
「大輝!私、絶対折れないから!」
「は…?」
「大輝には今は無理でも、いつか必ずバスケがまた楽しくなる日がくるよ」
「そんなん、何を根拠に…」
「分かるよ。
だって、大輝のことだから」
大輝の目を真っ直ぐ見つめる。
私の気持ちが少しでも伝わるように。
暫くの間私を見たまま黙っていた大輝は、不意にフッと笑って星空を見上げた。
「もしそんなことが起きたら…お前の言うこと何でも一つ訊いてやるよ」
「…信じてないでしょ!?」
「バーカ、そんな先のこと分かるわけねーだろ?」
「じゃあ今の約束、絶対守ってよ!」
「おーいいぜ、お星様に誓ってやる」
憎まれ口を叩きながらも大輝は少し楽しそうだった。
またバスケを楽しめる日が来る
そんなことが起きるのを一番望んでいるのは
私でも他の誰でもない、大輝自身なんだろうな。