第3章 ファミレス
「今さら吹奏楽部に入るのもどうかと思うし、私はこのまま帰宅部で終わっちゃうなー」
「…そうか」
「うん。…だから私は、大輝には部活頑張ってほしいんだけどな」
さりげなく伝えて大輝の反応を伺った。
大輝は終業式の時のように睨みつけてはこなかったが、険しい顔をしていた。
…ここでめげちゃ駄目だ。
「大輝、あのね…」
「お前さ、そういうこと言うの止めろ」
私の言葉を遮って、大輝はそう呟くように言った。
「え…?」
「俺にそういう、説得みたいなことするの止めろって言ってんだよ。いい加減分かっただろ?
俺は練習に出ない。練習なんかしたら俺に勝てる奴は本当に一人もいなくなっちまう。
俺に勝てるのは俺だけなんだよ!」
「そんな…!大輝より強い人なんてすぐに現れるよ!
いま練習しなかったら、いつかその人に負けるよ!?」
「…お前もテツと同じこと言うんだな…」
大輝はすごく寂しそうな、悲しい顔をした。
見てるこっちが辛くなる表情に、私は何も言葉が出なかった。