第16章 【番外編】*merry Christmas*
「あれ、峰ちんと瑠衣ちんじゃーん」
「次は紫原くんね…」
「このパターン慣れてきたな」
ケーキのお皿を回転寿司並みに積み重ねた紫原くんに遭遇した。
カフェの優雅な雰囲気に似合わぬその光景は店員さんも困り顔をしている。
お勤めご苦労様です…。
「こんな所でどうしたの?」
「今日の夜のケーキ買いに来たついでに休憩~」
「お前も今日の夜かよ。何かすんのか?」
「何言ってんのさ~。峰ちん達も、」
そこまで言って紫原くんが手で口を塞ぐ。
目を逸らし、明らかに焦った様子の彼に首を傾げた。
「紫原くん?」
「ちょ、ちょっと用事思い出した。じゃあね!」
「え!?ちょっ…」
その大きな体からは想像出来ない素早い動きで会計を済ますと、彼は店から出て行ってしまった。
「何だったの?」
「わっかんね」
気にしても仕方ないと一旦頭の隅に追いやり、ゆっくり休憩することにした。
「お前砂糖入れすぎだろ」
「そんなことないでしょ。そっちこそブラックなんてよく飲めるよね」
「甘いもん嫌いなんだよ」
「知ってるよ」
クスクスと笑うと大輝が拗ねたような顔をしてコーヒーを飲んだ。
何か今日初めてゆっくり出来たなぁ。
時間がゆっくりと流れる気がした。