第1章 記憶喪失
あー早く雨止んで欲しい。
休みの日なのにな。
どこも行く気になれない。
晴れていれば午前中はゴロゴロして、午後は買い物に行こうと思っていたのに、もうお昼が
過ぎている。恨めしい。
……!
トントントン……
突然、
小さいノックが聞こえた。
私は深く呼吸をして自分を落ち着かせ、玄関までゆっくり歩いた。
「はい、何か?」
声の主を
ドアを開ける前から
気がついていたので、
私は声を出しながら開けた。
「…よう、雨凄いね、
。
綱手様が次の任務で付け加えたい内容があるらしいからって。ほらこれ、書類持ってきたよ。」
「それはご足労ありがとうございます。カカシさん。」
カカシは記憶をなくして以来、
私をと呼んでいる。
当たり前だが、
付き合う前の呼び方に
戻った。
私もカカシさんと呼んでいる。
告白する前まで、私はさん付けしていた。
カカシと呼べばいいのだが、
やっぱり何故か嫌であった。
多分、
それはただ、
私のちいさな強がりだ。
って呼ばれたくない。
思い出さないのに、
名前だけ呼ばれるなんて
虚しいだけだよ。