第1章 手紙
「お名前様、
なんだ、このふざけた手紙は。」
二か月の長期任務を終え、
クタクタで
早く家に帰って
一杯飲みたいと、
足早に帰れば、
家の前で帰りを
迎えてくれたのは
私の愛しい、
愛しいカカシ様だった。
が、
何故かご機嫌斜めのご様子だ。
「あら、カカシ、どうしたの?」
私はすっとぼけた。
「手紙、見た。」
「そう?ありがとう、
読んでくれて嬉しい。」
なるべく笑顔で答えた。
「ああ、出だしは良かったが、
最後、あれはなんだ。」
私の
自己満足のお手紙を
もらって気分を害したようだ。
「すみません、
ご気分を、
損なうようなお気持ちに
させてしまい、
申し訳ございませんでした。
この責任は、
必ず取りますので、
何卒切腹だけは勘弁して下さい。」
とりあえず謝った。
カカシは、
呆れたように見ている。
「お前は、また、
そうやってふざけて茶化す。」
(素面であんな小っ恥ずかしい
手紙の話が出来るか!蒸し返すな!)
少し赤くなり私は、
誤魔化そうと
別の話をしようと考えてるが、
中々思いつかない。
「俺、今フリーだよ。」
「そうなんですか、あの人は?」
あの人とは、カカシの彼女の話だ。
可愛くて華奢の一般庶民だ。
私から見ても守ってあげたくなる素敵な女性だ。
あの人がいたから
ああいう手紙の終わり方にした。
人の恋路を邪魔する奴は
馬に蹴られて死んでしまえ
というだろう。
私はそんなことをしたくない。
何より彼女は
私のなりたい理想だ。
「別れた。」
顔が思わず
固まってしまった。
「…そうなんですか、それは悲しいですね。カカシ、またいい事ありますよ。」
同情の目をしながら
肩をポンポンと叩いた。
「俺のせいだからね。
ま、仕方ないよ。」
そう彼は言った。
「何か不都合な事でも?
あれほどの美女は
なかなか居ないですよ。
勿体ない。
私が慰めてあげたいぐらい…。」
そう言って
彼女を思い浮かべていた。
「いや、お前女だから。」
もう、呆れて
面倒くさいようだ。